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content/posts/2026-05-26_asimov-the-rest-of-the-robots.md

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@@ -14,7 +14,7 @@ heading_hashes = true
1414
以下の内容には表題本のネタバレを含みます。個人的にはアシモフの短編はネタバレを食らっても楽しめるものだと思っていますが、自己責任でお願いします。
1515
{% end %}
1616

17-
[『ロボットの時代』](https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000011486/)は原題を *The Rest of the Robots* という、アイザック・アシモフのロボット系短編集である。アシモフの短編集のうちで最も有名な『われはロボット』との関係でいうと、こちらはその姉妹短編集的な位置づけらしい[^sister]。 X でこの本の一部が話題になっていたのを見てその存在を知り、早速手に入れて読んでみたのだった。
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[『ロボットの時代』](https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000011486/)は原題を *The Rest of the Robots* という、アイザック・アシモフのロボット系短編集である。アシモフの短編集のうちで最も有名な『われはロボット』との関係でいうと、こちらはその姉妹短編集的な位置づけらしい[^sister]。 X でこの本の一部が話題になっていた[^x]のを見てその存在を知り、早速手に入れて読んでみたのだった。
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1919
## どんな本か
2020

@@ -44,7 +44,7 @@ heading_hashes = true
4444

4545
どちらかといえば、俺は賢いLLMによる社会や仕事の変化を好意的に受け止めている人間だと思う。LLMによって便利になったものは数知れないし、何より手が足りず、速度が足りず出来なかったこと、思いついても時間が足りず作れなかったもの、そういったものをLLMを使ってものすごいスピードで実現できるようになった。動くものを作ること自体の楽しさはLLMの出現によっても特に奪われた気はしておらず、むしろ増幅しているようにさえ思われる。来たるロボットの台頭へ抵抗するニンハイマーに同情の目を向けるキャルヴィン博士としての自分がそこにはいる。
4646

47-
ただいっぽうで、俺が数年のあいだプログラマとしての人生を送るうえで得てきた幸福のうち、LLMによってすでに失われた領域があるのもまた確かなのである。何も知らない領域のコードを書く。ユースケースを知る。テストを書いて入出力の構造を試行錯誤する。構造を見抜いてよりよい抽象を考え、またテキストに落とし込む。適切で一貫性のある命名にこだわる。そういった行為の繰り返しから得られるもの。それはある意味で文芸的で、またある面ではパズル的な趣のある行為であり、コンパイルしたあとには残らない人間のための抽象、それを表すテキスト列を病的なこだわりでこねくり回す行為であった。自分が書いたもの自体やそれの動作を発見することによってメンタルモデルが更新されていく感覚、テキストあるいは構文木の手ざわりが自分の理解に及ぼす影響、それをさらに手元にフィードバックしていく、そういう直接的で対話的な、そして内省的かつ個人的な学習の愉しみであった。LLMによってそれが全部なくなったとまでは言わない、もっと大局的な場所に楽しさが移ったのだと思うことはできる。でもニンハイマー教授の叫びもその足掻きも、俺は確かに知っているものとして読んだのだった。
47+
ただいっぽうで、俺が数年のあいだプログラマとしての人生を送るうえで得てきた幸福のうち、LLMによってすでに失われた領域があるのもまた確かなのである。何も知らない領域のコードを書く。ユースケースを知る。テストを書いて入出力の構造を試行錯誤する。構造を見抜いてよりよい抽象を考え、またテキストに落とし込む。適切で一貫性のある命名にこだわる。そういった行為の繰り返しから得られるもの。それはある意味で文芸的で、またある面ではパズル的な趣のある行為であり、コンパイルしたあとには残らない人間のための抽象、それを表すテキスト列を病的なこだわりでこねくり回す行為であった。自分が書いたもの自体やそれの動作を発見することによってメンタルモデルが更新されていく感覚、テキストあるいは構文木の手ざわりが自分の理解に及ぼす影響、それをさらに手元にフィードバックしていく取り組み。そういう直接的で対話的な、そして内省的かつ個人的な学習の愉しみであった。LLMによってそれが全部なくなったとまでは言わないし、もっと大局的な場所に愉しさが移ったのだと思うことはできる。でもニンハイマー教授の叫びもその足掻きも、俺は確かに知っているものとして読んだのだった。
4848

4949
最後に、ニンハイマー教授とキャルヴィン博士のやりとりを引用しておく。
5050
彼らが誰だかわからない人向けに補足しておくと(遅い)、ニンハイマー教授はロボットの台頭をどうにかしたい人間、キャルヴィン博士はロボットを開発する企業側の人間である。以下の引用はニンハイマー教授の台詞から始まる:
@@ -66,4 +66,5 @@ heading_hashes = true
6666
---
6767

6868
[^sister]: 早川書房による紹介: https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000011486/
69+
[^x]: [該当のポスト](https://x.com/kasuga391/status/2053131041448268175)
6970
[^faust]: 「ファウスト」はゲーテによる戯曲『ファウスト』、あるいはドイツにおけるファウスト伝説のことを指す。知識や快楽および人生の真理などを求める学者ファウストの前に現れ、その欲望につけ込む悪魔がメフィストフェレスである。悪魔メフィストフェレスは人間ファウストに力を与える代わりに魂を手に入れようとする(らしい。不勉強のため詳しくは知らない)。

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